研究について

五一広場東漢簡牘(ごいちひろばとうかんかんとく)とは、中国で出土した1・2世紀、後漢時代の木簡です。出土した場所は、現在の湖南省長沙市の中心部に位置し、当時は地域の官庁街で、役所のゴミ穴の一つだったと考えられます。

 

今も昔も、役所では大量の書類が作成されますが、書類は一定期間保管され、不要になれば廃棄されます。一九〇〇年前の役人の不要書類は、私たち歴史研究者にとっては宝です。当時の役所の仕事を反映する貴重な史料だからです。とりわけこのゴミ穴から出土した書類は、事件に関する報告・命令書が多くを占めることが注目されます。金銭トラブル、遺産相続、傷害・殺人、窃盗、火災、水難、不正などといった現在でも起こりうる事件について、当事者の訴えや証言、役人たちの捜査・処理などが述べられています。

 

ほとんどの木簡は断片にすぎず、事件の全貌を知ることはままなりません。しかし、この貴重な史料によって、一九〇〇年前の中国のある地域の社会を少しでも知ることができるのではないか。私たちはそう考えてこの史料の読解をすすめています。

2010CWJ1③ :264-294

長沙簡牘博物館展示



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